ファイバービジョンについて
光ファイバーが身近になるまで、このようなテレビを考えはしても実際に作ることはできなかったでしょう。
プラスチック光ファイバーを使っているが、割と価格が高いのと、地方では手に入りにくいので、太い釣り糸でも代用できると思う。
以下に、この機械式テレビの特徴を示した。
 ■ 長所 ■
  1)画面が明るい
  2)光の利用効率が高い
  3)テレビの原理が分かりやすい
   光ファイバーを電子線に例えると・・・
  4)受像機を送像機と兼用にできる
   これは面白い利点である。発光ダイオードは受光素子にもなるわけである。
  5)受像機を2台準備し、光ファイバーで結ぶと、増幅器のない機械式テレビが出来る(もちろんカラーテレビ)。
   これに関しては実験済みである。確かにカラーだった。感度が非常に悪いので、強力な照明が必要である。
  6)光ファイバーを二ポー円板から突き出すことによって、画像が浮き上がった感じにできる。
   これはたまたま突き出たファイバーがあってそう見えたのである
  7)光源は回転軸周りに集中した光入射部に対して発光するので、8画面分くらい同時に見えるので調整しやすい。
   通常の機械式テレビだと、二ポー円板後ろの光源の照らす面積だけしか像が出ない。
  8)鉱石テレビ
   うまくすると、光の利用効率のよさから、鉱石テレビに利用できるかもしれない。
  9)走査方向を変更できる
  回転軸に光源を設置しているので、回転させることで、画面の位置を変えることが容易である。
 
 ■ 短所 ■
  1)光ファイバーを円板に取り付けるので、風損が大きい。
  2)壊れやすい(光ファイバーをニプコー円板に取り付けているため、一本でも傷つくと、修理に手間が必要)。
  3)回転数が高くなると振動が大きくなる。
  4)二ポー円板の製作に手間がかかる。
アルミ板を買って来た。縦横が300mm×400mm、厚さ1mmのもの。
このサイズはホームセンターに大抵置いてある。
円板を作るので、円くけがく。このアルミ板から取れる最大直径の300mmの円板を作ります。その後、円く切断する。
切断は金切バサミで行います。直径が大きいので、気をつけて切れば問題ないです。
ハサミは普通の直線切りのものです。曲線切りのもありますが、使ったことは無いです。
機械式テレビの二ポー円板は、螺旋状に開けた孔を通った光が像を
作ります。この走査孔の開け方ですが、私の場合、きわめて原始的です。
切った後、円板の中心を通る直線を描きます。その直線と直交し円板中心を
通る直線を書きます。この2本の直交する直線作る角を2等分する線を引きま
す。この作業を繰り返すと、2の5乗で32本の直線が引けます。
この方法なら、分度器が要らないし、良いのですが、できばえは今ひとつです
(画面に黒い筋が入ってしまいます。)
今回使用する光ファイバーです。直径は0.8mmです。
これは、二ポー円板直径と走査線数、画面の縦横比(アスペクト比)で
決まります。
円く切断して、走査孔が明いたら、光ファイバーを通します。
無理な力がかからない様に気をつけて取り付けます。
光ファイバーの取り付けが終わった円板です。
これは裏が白いタイプの二ポー円板です。
テレビのボディー(箱?)を作っているところです。
きわめてシンプルです。
上から見たところ。この構造は作りやすいです。二ポー円板回転用のモータも見えます。どこかで見たことがあると思いませんか。 ミシンのモータです。ユニバーサルモータで直流でも使えます。手ごろな大きさで 気に入っていますが、永久磁石を使ってないので電気を多く消費すること、運転電圧が高いこと(もともと100V用ですので)が問題です。 ミシン屋さんで売ってもらえます。私の場合、中古で2000円位だったでしょうか。
円板を取り付けて試運転です。
直流40Vくらいで回りましたが、そんな直流電源が無いので、電池で代用です。これでどのくらいの電圧で回るか調べました。
ブレッドボードに回路を仮組みしています。
一応映っています。これはNBTVという、英国のクラブからいただいたテスト用
CDを再生しているところです。
裏側です。同期用のスリットのある円板がニポー円板と同軸に取り付けて
あります。円板の同期をとるテストをしているところです。
暗くして撮影しました。
ファイバービジョンはこのように半分以上の円周上に画面が現れます。
不思議な感じのするテレビです。
ボディーが貧弱なので、調整部が引き出せる構造にします。
これは正面に来る引き出し板です。スピーカーをつけるための穴もあけました。
一応完成です。結構、見栄えがします。
必要の無いときは、引き出しを閉じておきます。
そうすると、埃などが付着しないので、掃除も楽です。
円板の取り付け位置を変えました(少し、高い位置にした)。
使ってみて思ったのですが、音が想像以上にいいです。
多分、箱の中で共鳴するのではないでしょうか。
裏から見たファイバービジョンです。
裏は白です。
このテレビ、なんと裏にも画像が出ます(ぼやっとしてますが)。
普通の機械式テレビみたいに、裏側がゴチャゴチャしてないのがいいですね。
・・・家庭に入った機械式テレビ・・・です。
戦前の本で見たことがあります(おそらく1920年代)。
こんな感じのテレビ(すごく小さな画面)をソファーに腰掛けた若夫婦が見ていて、
子供が近くで指差していると言うものでした。
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